年少編

4月

「優しさ」

Sは幼稚園に来てお母さんから離れる時「いきたくないと」と泣き叫ぶ。そして、 お部屋に入ってからも支度をせず床に座り、声を大にして泣き叫ぶのだった。 関わると更に泣くことが予想されたので、しばらく見守ることにした。 すると通りかかったEがSをじっと見てぎゅっと抱きしめ、優しく背中をポンポンと 二回叩いた。Sは驚いたのか、何も言わなかったが、次第に落ち着いていった。

「助け合い」

朝の登園時にピンクコースのMが泣きながら登園して来た。泣きながらも支度を終え粘土遊びを 始めた。そこに水色コースのIが泣きながら登園してきた。泣いているIに園生活の楽しいことを 私が話していると、粘土遊びをしていたMが「大丈夫だよね」と言ってきた。 私が「そうだよ、大丈夫だよ」と言うと、MはIに近づいて私の真似をして彼の頭を撫でてあげていた。

「お先にどうぞ」

AとRは同じバスコースで仲が良い。何をするにも行動を共にしていた。言葉はないが 意思の疎通が出来ているようである。今日、皆でトイレに行った時順番が来るまで並んでいたが 縦でなく横に並んでいる二人がどうするかと見ていると、RがAをそっと前に押した。 Aは「何をしたの?」という表情でRを見つめると、Rは「先にいいよ」と言った。

5月

「友達思い」

今日、パーテーションを開けて年少児で母の日の体操をした。終わってパーテーションを 閉めながら「ひまわり組さんはお部屋に戻りますよー」と言ったが、Kは別の所を見ていて 来ようとしなかった。 すると同じ水色コースのYがはっと気付き、無言でKの手を引っ張ってあげた。

 

「マリア様」

明日はいよいよ聖母祭。年少さんにとってマリア様のお祝いは、はっきり分からないかもしれない。 そこでルルドのマリア様を見に行き、マリア様へのお祈りをした。バラで飾られたマリア様をじっと 見つめている子どもたち。お祈り後、「マリア様がなにか言ってるよ !」と私が言うと、子どもたちが 「ありがとう!って聞こえる」と言っていた。

「ついてこいよ」

ここ数日、泣きながら登園して来ていたIだったが、昨日から笑顔で部屋に入って来ていた。 保育者が支度をするよう促すと「IはTと一緒に遊びたい!」と友達の名前が出てきた。 そのやりとりを聞いていたTが「僕、外に行くからついてこいよ」と声をかけた。 その言葉を聞き、朝の支度をスムーズに終え、Tは遊びに出かけていった。

「心の花」

今日、大きなピンクのハートを使って心の花の話をした。年少にとって心の話ははじめてのことだったので、どんな反応をするかとても楽しみだった。良いことをすると花が咲く、強い心になると花が咲く・・・。 花の咲く瞬間を子どもたちに伝えると、目をキラキラと輝かせて、自分の胸を押さえたK。 目には見えないけれども、自分で花を咲かせたいと思ったのだろう。

6月

「大切なもの」

今日、宗教の絵本「五つのおくりものを」を読んだ。 この絵本には自然は神様が作り上げたこと、みんなには神様が命を与えてくださったと言う事が 載っているという話をした。 皆で手、足、目、耳、舌、触覚を確認し合うとSはじっと自分の手を見つめて動かなかった。

「信じている」

朝、なかなか室内へ入ってこない子どもがいたので、部屋に小さな足跡を付けて見た。すると登園と同時に「何かある!」と大興奮する子どもたち。足跡を辿ったり、歩幅を合わせたり、数を数えたりするワクワクする姿を見せた。誰かが「ネズミさんじゃない?」と言うと、「足を洗わないでお部屋に入って来ちゃったんだね」と誰かが応えていた。

「お花が育たない」

登園をしたYは開口一番「今日、雨?」と聞いた。私が「雨が止んで外へ行けるといいわね」と 応えると、「いま少し霧になっている。朝、ママに教えてもらったよ。雨が降らないとお花も 大きくならないって。」そのことをお友達にも教えてあげたりする姿が見られた。

「一緒にお弁当」

昼食時間、いただきますをし、食べ始めた子どもたち。少ししてから私も一緒にお昼を食べ始めると 違うテーブルからMが椅子にお弁当の一式を乗せて、私の隣にやってきた。私が「あれMどうしたの?」と食べ途中のお弁当を見て言うと、私のほうを見て、「うんうん」とうなずいた。私が「一緒に食べようと思って来てくれたの?」と聞くと、大きく「うん」とうなずいた。初めての自分からの行動。

7月

「NEW Y」

いつも登園すると、廊下に座り込んだり、一つ一つの行動がゆっくりだったYが「おはよう」と 挨拶をしたと思ったら、次へ次へと身支度を終わらせた。「先生、次はお着替え?」とやることを 確認して、終わると「先生、見て!僕、花まる?」と聞いてきた。驚きながらも「花まるだよ!!」 とハイタッチすると嬉しそうにしていた。お弁当も、いつもより早めに食べ終わり帰りの集まり にも間に合った。 また、そこで、はいタッチして「やったー!!」と喜びあった。

「せんせい!!」

水色コースが到着し、バスから降りてきたO。バスの中から玄関でまっていた私と目が合っていた。 ニッコリ笑って到着したのだった。すると、バスの階段を降りて、勢いよく私の方へ駆け出してきた。 そして中腰になっていた私の首元をギュッと抱きしめ、笑顔で「先生おはよう」と言うのだった。 自分を表現できるようになって、本当に良かった。

「宝物」

朝、私が室内に入ると、外遊びから戻ってきたFがうれしそうに私のところに来た。 そして、緑色のイチョウの葉を大切そうに持ち、見せてくれた。私が「何?どうしたの?」 と尋ねると、「秋になると、緑色が黄色になるんだって!楽しみだなー」と弾むように教えてくれた。

9月

「久々の幼稚園」

長い夏休みを終え、今日からまた幼稚園。休みがあったからこそ、幼稚園の楽しさに気付いた 子もいた。Nは私が「Nちゃん!」と声をかけるとすっぽりと胸の中へ。皆が夏休みの思い出を 一つ一つ丁寧に語る姿に成長を感じた。更なる成長のためにも、二学期たくさんの経験を積ませたい。

「変身」

魔法をかけて、今日は色々な動物に変身!! うさぎ、ぞう、魚、アシカ・・・ みんなすっかりなりきっていた。最後はライオン。目に見えない耳や尻尾もあると思い込み、ライオンに 本当に変身してしまったと思ったU。心配になってほろりと涙が・・・。 「心配ないよ、もう一回魔法をかければ、元に戻れるよ」と伝えたら少し安心していた。

「バッタの親子」

Jが持ってきてくれた親子のバッタ。子どもたちは興味津々に見ていた。 「あ!葉っぱ食べている、お腹空いたのかな」と バッタを見ながら思い思いに感じたことを 話していた。その時、子どもバッタが母さんバッタの上に乗ると、「おんぶしたよ」Jは大興奮。 周りにいた子も「どれどれ」と覗きに来て大騒ぎ。

「バスの中で」

帰りの白コースのバスの中で、年少組みの三人の女の子が、何やらごっこ遊びをしている様子だったので、そっと聞いていた。二人の子が寝たふりをして、少しすると起きていた一人の子が「コケコッコー」と鳴き、起きる事を伝えていた。寝ていた二人も「コケコッコー」と聞くと、ムクッと起き上がり・・・と、三人で同じことを何度も何度も繰り返し、楽しそうに笑い合っていた。

10月

「良い言葉」

冬服の子どもが何人かいるので、着替えのために少し頑張る心が必要になってきている。 だから、「自分の力で頑張る」ことを伝えたいと思い、その話を皆にした。 すると、Rが「やれば出来る、やらねば出来ぬ」と言ったので驚いた。 「その言葉どうして知ってるの?」と尋ねると「お父さんに教えてもらった。」と言った。

「自分のお芋」

お芋掘りの後、バスまでお芋の入った重たいリュックを背負い歩いていた。「重そうだね」と近くにいた子に声をかけると「重いよー、大きいのが入っているもん、いっぱい掘ったよ。」と答えが返ってきた。重そうだけど、何だかうれしそう。「バスまで頑張って、帰りはママに手伝って貰おうか」と言うと「自分で持つよ!お家まで持てる」と張り切っていた。重たいより、うれしい気持ちの方が大きいのだろう。

「あこがれ」

今日からスタートしたお当番活動。一番最初はIとM。二人とも緊張していたようだが 堂々と仕事をしている。机拭き、牛乳配り、そしてお祈り・・・。 そんな二人を見てBが「二人ともかっこいい」とつぶやいていた。

「 A 」

二学期に入り、お姉さんの顔になったA。今日は隣でMとお弁当を食べていたがその時、Aが「今日は泣かないで食べようね」と、Mにいった。それは、先週嫌いなものが入っていて食べられず、泣いてた様子を見たので、声をかけたのかもしれない。Mもその優しい言葉掛けに笑顔で答えた。その後も二人で会話をしながら、Mも泣かずに食べ終え、その姿にAは「全部たべられたね」と声をかけていた。

11月

「役発表」

「今日、クリスマス会の役を発表した。「サンタ役は、ジャカジャカ・・・」と先生がじらすと「ドキドキする」と 友達と顔を見合わせていた。そして「Fくん」「○○の役」・・・と先生が発表すると「わー!おめでとう」とYが拍手し 「頑張ってね」と声を掛けていた。次々と名前を呼ばれていく子どもたち。役の書いた紙をもらうとニッコリ笑顔。 時折、「一緒だね」とお互いにカードを見せ合う姿もあった。

「おめぐみってなんでしょう」

子どもたちに新しい聖歌を教えた。「先生が歌うからよく聞いてね」と言うと、数人の子が耳に手をあて聞いていた。歌った後どんな言葉があったか尋ねると、「丈夫な体」とEが言った。「神様はみんなにその丈夫な体をくださったんだよ」と言うと「えー!!」「神様がくれたの!?」「知らなかった」と目を丸くして驚いていた。 「丈夫な体をくださって嬉しいね」と言うと、立ち上がりガッツポーズをして喜んでいた。

「スペシャルゲスト」

この日のお弁当の時間にバスの運転手さんを招待した。先週行われた感謝の日をきっかけに担任意外と触れ合いを楽しみに 距離が少しでも縮まるようにとの思いもあり、この機会を設けることにした。Kは運転手さんの手をさりげなくひっぱり 隣に座るようにアピールしていた。その姿に「K誘ってごらん、隣に来てっていってごらん」と後押しすると反対に緊張して しまった。しかし私の声掛けにより状況を把握した運転手さんがKの隣に座ってくれた。 お弁当が始まると、運転手さんを見つめているKは、運転手さんに背を向けた時の表情がとろけそうで、徐々に自分から 声を掛けるまでになった。 その日の帰りは、いつもより気持ちが高まっていた。

「心配する気持ち」

帰りの会の後、体操教室に行かず泣いていたN。私がお話をしたり、抱っこしたりしてNと一緒にいると、外で遊んでいたE、R、Hが「Nどうしたの?」と心配して声を掛けてくれた。訳を伝えると、「中に入ろうか」と聞いた。「心配してくれてうれしいね」とNに言うと、「いいこいいこしてあげる」と言い、三人でNの傍に来てくれた。「じゃあ、金メダルあげる!」パワーが出るとE。「私もあげる!」と他の子もてのひらを見せ、Nに触れた。

12月

「サンタさんへの手紙」

誕生会が終わって、クラスへ戻り、手紙があることに気がついた。手紙を読み、「返事をしょう」 YとGが言った。サンタポストが本当にあるかどうか見に行きたいとEが言い、みんなで確認し お手紙を書き始めた。「何を書くのだろう」とのぞくと、「お手紙ありがとう、サンタさん大好きだよ」 「プレゼントください・・・」などなど思い思いのことをかいていた。 「サンタさんは帽子を外して買いに行くんだよ。」「帽子を外して、その中からプレゼントを 出すんじゃない?」とそれぞれ思い描くサンタさんについて話しをしていた。

「サンタさん」

聖劇の練習の後、お弁当を食べていた。ピアノの上の例のお手紙。「あ!これなんだ?」から始まり・・・お弁当中だったがKに読んでもらった。「クリスマスの練習しているのサンタさん何で分かったのかなー」と私が聞くと、「だって見てたんだよ、窓から! 先生、気付かなかったの?」とH。いかにも自分はサンタさんに気付いてようだ。その後サンタレターが始まり、一人ひとりあふれる思いを書いていた。

「予想外の答え」

無原罪の マリア様の話をしている中で、私たちは時々、意地悪や悪いことをしてしまうことが あるね、と言う話をした。そして、その時,どうしてお父さん、お母さん、先生など大人の人は みんなに注意したり、叱ったりするのかを聞いてみた。 だいたいの子は「いけないから、悪いことだから、友達が悲しいから」と答えてくれた。 そんな中でFは「自分で生きていくために言ってるの」と言った。 どうしてそんなことを知っているのかと聞くと、「ママが言ってたの」と教えてくれた。 まさか年少さんからこんな言葉が出るとは思いもよらなかった。

1月

「久しぶり」

「お早うございます!」と元気な声と共に登園してきた子どもたち。 中でもKは嬉しさが体中からあふれ出て、ぴょんぴょんとはねていた。 「何処かに行った?」という私の問いかけに、「おばあちゃんの家に」と。 隣にいたRも「僕も」、後ろで折り紙をしていたSも「私も」と答えた。

「氷の世界を体験」

月曜日に降った雪がまだ園庭に残り、砂場の前は、解け始めた雪が凍り、透明のガラスのようになっていた。どうしても子どもたちに見たり、触れたりしてほしいと思い、危険ではあったが、園庭に向かった。すると年長児も私たちの姿を見てやって来た。始めは氷を踏んだり、触れることを目的としていたが 「この氷、水に入れたら浮かぶのかな?」と科学的な発言をしてきた。その発言に年少さんは興味津々で 年長児と一緒に水を運び、浮かぶかどうか実験をしていた。

「もうすぐ年中」

お弁当の時間、年中組になる話をしていた。私が少し意地悪をして Hに「4月からお兄ちゃんがいないけど大丈夫?」と聞くと 少し間をおいて「大丈夫だよ 」と言う。 そして 「だって、お兄ちゃん同じ家に戻ってくるから、家で会えるもの!!」 と自信満々に言った。すると近くにいたEも 「僕だって大丈夫だよ、お姉ちゃんいなくても平気だよ!!」と言う。 すると、今度はKも「僕だってへっちゃらだよ」と答えた。

2月

「他の作品」

今日は子どもたちの展覧会の日。「遊戯室が美術館みたいに変身しているんだよ」と言うと「すごい」と 体いっぱい喜ぶM。遊戯室につくとしばらく沈黙していたが、海の世界の入り口にいくと「うわぁー!」と 驚いていた。「僕のはここだ!」と喜ぶY、隣のSも「あったね」と手をたたいて喜んでいた。

「牛乳屋さん」

年中になると、「牛乳屋さんはお部屋にはいません。牛乳を飲みたい人は、自分で牛乳屋さんに買いに行きます。でもストローはささってないし、お耳も出ていません。」と話した瞬間、子どもたちの顔がカチーンと固まった。 小さい声で「自分でやる」と聞こえ、次々に「自分でやるー」「やるー」と大声に変わっていった。ひとつひとつ 手順を丁寧に教えていたら、女の子たちが、自分のタオルを敷いて、その上に牛乳を置き、ストローをさす・・・ 「先生、こうやればプシュッてこぼれちゃっても大丈夫。拭かなくてもタオルがすってくれるから」 まったくその通り。考える力、どんどんついています。

「大切な時間」

今週の火曜日から、一緒にお弁当を食べようと誘われていたが、食べることが出来ず、今日こそ食べようと 約束をした。子どもたちが食べ始めた後、急いでお便りファイルや連絡帳を並べて、食べ終えた子が 取れるようにと準備した。すると、「先生、あと三つで終わるよー」とSが言ってきた。あと少しで終わる合図 だったので、急いで机に弁当を置き、手を洗いに行った。すると、その間に、Sと向かいに座っていたMが 私のお弁当のフタを開けて、準備してくれていた。SとMは「あと三つ食べないでいたよ。先生どうぞ」 と言い、一緒に食べ始めた。

「片付け」

朝の自由遊びから始まり、白コースも含め、しばらく遊んでいた。いつの間にか周囲のクラスはクラス活動へ 入り、自分のクラスだけが自由に遊んでいるのだった。片付けの時間になると自分たちが使っていない玩具も 片付け始めるK、S、それを見たMは「心がきれいになるね」と誉めていた。

3月

「お別れ会」

ドキドキしながら待っていたプレゼント交換。四月にふれあい遊びに来てくれた 兄弟組のお兄さんお姉さんと久しぶりのふれあい。お互いが大きく成長していて たのもしかった。(が、やっぱり年長さんといっしょにいると年少さんは小さい。)  渡す前に見えないように、一生懸命隠す姿が実に可愛らしく見えているのに 「みえない みえない、なーんにもみえない」と気遣ってくれる年長男児。 ふれあい遊びでは、みんながとろけるような優しいまなざしで、お互いを素直に受け入れ 楽しんでいる様子がうかがえた。

「裸足で遊んでいい」

とても天気がよく、戸外で遊ぶ時に「ハダシになってもいいよ」と声を掛けた。「え!!ハダシ」と久々の響きに驚いた様子だったが早速、靴下を脱いで園庭へ。「気持ちいい」と言い、駆け回ったり、泥の中へ入ったり。その姿を見て、靴を履いて遊んでいた子も「ハダシで遊んでいい?」と次々に聞きに来てハダシ遊びを楽しんでいた。

「あそび」

子どもたちがおままごとをしている中に私も参加することになり、病気の役になった。 「苦しくて気持ち悪い・・・」と言いながら演じると、F、C、T、Uはすぐに布団に 案内してくれた。Nは毎回、自分が具合の悪い役をしていたので、何時も横になっていた 布団を、私に譲るには複雑な気持ちなのか、苦笑していた。スプーンを体温計にし 私の熱を計ったり、薬や料理を持って来る子もいた。そんな中、Sは「待ってて!今、 おじいちゃんにお祈りしてくるから」と言って窓のほうに行った。 そして「具合いの悪い子がいるので早く直りますように」と祈り始め、その後、 はめると元気になるという指輪を作り、私の指にはめてくれた。

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